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環境貢献型製品

製品づくりの考え方

「円滑で安全な社会への貢献」と「地球環境の保全」を目指した製品づくり

企業理念に定める「円滑で安全な社会への貢献」と「地球環境の保全」を目指し、NSKは、トライボロジー・材料技術・解析技術・メカトロ技術に生産技術を加えた4コアテクノロジープラスワンを駆使し、「環境貢献型製品開発の基本方針」に沿って環境貢献型の製品や技術の開発を進めています。そして、NSK製品を広く世界中に普及させていくことで、機械の高度化や環境にやさしい産業の発展に貢献します。さらに、状態監視システム(CMS)やそのサービスも展開・提供することで、製品ライフサイクルを通じた価値の創出と、社会全体の環境負荷低減を目指しています。

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環境貢献型製品開発の基本方針

環境貢献型製品開発の基本方針

NSKの環境貢献を表す指標

NSKの製品は⾃動⾞や産業機械に組み込まれ、摩擦をコントロールし、エネルギー消費を減らす機能を担っています。そしてそれは、お客様が「つかう」ときのCO2排出量の削減など、環境負荷低減にも貢献しています。NSKは、「NSK環境効率指標(Neco)」と「CO2排出削減貢献量」の2つの指標を定め、製品を通じた環境貢献の最大化を目指しています。

Neco

NSK環境効率指標 Neco

NSKは製品開発時に環境貢献度を総合的かつ定量的に評価する独自の「ものさし」として「NSK環境効率指標」(通称Neco=ネコ、NSK eco-efficiency indicators)を導入しています。

Necoは「製品価値V」を「環境負荷E」で除した数値によって表されます。分子の「製品価値V」は、寿命や精度、許容回転数など性能を向上させるべき項目について、分母の「環境負荷E」は、製品重量や消費電力、摩擦損失など減らしていくべき評価項目について、従来製品を1とした場合の開発製品の改善度合いを数値で表します。「製品価値V」が大きく、「環境負荷E」が小さいほどNecoの値は大きくなり、環境にやさしい製品と言えます。

軸受で例えると、従来製品に比べ寿命が長く、高速回転まで耐えることができ、小型で重量が軽く、摩擦損失が少ない製品ほどNecoの値は大きくなります。NSKでは開発製品のNecoの値を1.2以上にすることを目指しています。

Neco1.2以上の環境貢献型製品の開発実績

CO2排出削減貢献量

NSKは製品使用段階のCO2排出削減貢献について、直接貢献と間接貢献の2つのカテゴリーで取り組みを推進しており、2022年度には229万トンの排出削減に貢献しました。2026年度までに300万トン以上の削減貢献を目指して取り組みを引き続き強化し、社会全体のCO2排出削減に貢献していきます。

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製品による使用段階でのCO2排出削減貢献の考え方

カテゴリー 貢献の考え方 CO2排出削減貢献例
直接貢献 NSK製品単体の性能が直接的にCO2排出削減に貢献するもの
  • 摩擦損失の低減
  • 長寿命化によるダウンサイジング
  • 小型・軽量化
間接貢献 NSK製品が組み込まれたお客様の装置や設備がCO2排出削減に貢献することで、間接的に貢献するもの
  • 油圧装置の電動化への対応
  • 再生可能エネルギー普及への対応
  • 新たな環境貢献製品開発への対応

直接貢献

軸受によるフリクション低減など、既存品からのベース性能向上によって、NSK製品が機械のエネルギーロス低減に直接的に貢献する領域です。
以下の数式によって貢献度を算定しています。

CO2排出削減貢献量(製品単位)=ΔPCO2×年間稼動時間×使用期間×製品販売量
ΔPCO2:製品の単位時間当たりのCO2排出削減貢献量(CO2/hr)
年間稼動時間:製品の年間稼動時間(hr/年)
使用期間:製品の使用期間(年)
製品販売量:当該年度の製品販売量

※(一社)日本ベアリング工業会にてガイドラインを策定

事例:低フリクションハブユニット軸受

ハブユニット軸受には、苛酷な市場環境での使用を前提に、外部からの泥水侵入防止用の密封装置(シール)が装着されています。そのため、低フリクション化には、軸受内部とシール両方のフリクション低減が必要になります。一般的に、低フリクション化と、軸受機能(耐久性、剛性、シール密封性など)は、トレードオフの関係にあるため、単純に低フリクション化すると、市場での信頼性を損なう恐れがあります。
NSKは、軸受内部設計の最適化、最適グリースの選定、及び低フリクションシール開発により、市場での高信頼性を確保したまま、ハブユニット軸受のフリクションを25%低減させた「低フリクションハブユニット軸受」を開発しました。

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間接貢献

風力発電設備や電動射出成型機(油圧の電動化)などに組み込まれることにより、NSK製品が間接的に貢献する領域です。風力発電の分野において開示されている軸受の寄与率などをもとにガイドラインを設定し、以下の数式で貢献度を算定しています。

CO2排出削減貢献量(装置単位)=ΔPCO2×年間稼動時間×使用期間×寄与率×普及(販売)量
ΔPCO2:装置の単位時間あたりのCO2排出削減貢献量(CO2/hr)
年間稼動時間:装置の年間稼動時間(hr/年)
使用期間:装置の使用期間(年)
寄与率:装置におけるNSK製品の寄与率(%)
製品普及(販売)量:当該年度の普及(販売)量

事例:風力発電機用軸受

NSKは、風力発電機の性能を左右する増速機に使用される軸受を提供し、再生可能エネルギーの普及に貢献しています。風力発電機用軸受には高い信頼性が求められます。これは風⾞が20年間稼働することを前提として設計されており、トラブル発生時の部品交換が容易ではないためです。このため、高度なコンピューター解析技術、材料、熱処理に対する深いノウハウ、実物大軸受の試験評価技術が要求されます。NSKはこれらの全てについて、軸受業界のトップクラスの実力を備えています。

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脱炭素社会への貢献

NSKは、脱炭素社会への貢献が「収益を伴う成長」の機会と捉え、「モビリティ」や「再生可能エネルギー」、「産業機械/工作機械」の分野を中心に、成長が見込まれる市場にフォーカスしています。NSKが強みを持つ精密軸受や精密ボールねじ、電動車向け部品など、高度な技術力を活かした製品を開発し、高収益ゾーンへの販売拡大を図ることで、持続的成長の実現を目指していきます。

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事例:自動車のEV化、電動化による環境貢献

カーボンニュートラルの達成には、自動車のEV化、電動化が欠かせません。NSKでは、MTP2026で電動車向け新規拡販計画を掲げ、技術の差別化や新商品「電動油圧ブレーキシステム用ボールねじ」事業を拡大していきます。

自動車事業の戦略と進捗:NSKレポート2023