新興国市場向け「建設機械　走行減速機用中国現調円すいころ軸受」を開発

【開発の背景】

油圧ショベルなど建設機械の走行減速機用に使用される円すいころ軸受は、重荷重、衝撃荷重といった過酷な使用環境下で使用されています。中でも新興国において、多くの建設機械は長時間連続稼働、長距離の悪路走行など、より厳しい条件下で使用されています。更に新興国では、軸受周辺の部品の精度が粗いことや作業者が軸受の取り扱いに慣れていないなど、新興国特有の課題も発生しています。
このような中、ＮＳＫは、現地の材料を採用し、新興国特有の使用環境に最適な製品仕様を設計し、更に中国の工場に高精度加工が可能な最新鋭の生産設備を導入しました。これにより、高品質な製品を、コスト競争力を高めて、短納期で納入可能な現地生産を実現しました。

【製品の特長】

1. 最適なクラウニング形状（高信頼性・長寿命）

新興国での過酷な使用環境下においても軸受寿命低下を防止するために、軸受の外輪、内輪軌道面及びころ転動面に最適なクラウニングを施し、エッジロードの発生を抑制しました。また、取り付け精度が悪化した際の軸受の傾きも許容する丈夫な設計としております。更には、最新鋭設備導入により、あらゆる条件にも対応できるクラウニング加工を実現いたしました。

2. 耐衝撃性能向上（大つば部発生応力低減）

新興国では、悪路走行時に走行減速機用軸受に大きな衝撃がかかります。中でも軸受の内輪の大つば部に大きな応力が発生すると、大つば部が割損し、走行不能となる恐れがあります。このため、ころ端面形状の最適化を行い、大つば部に発生する応力を約10%低減しました。

3. オール現地調達、現地生産

高品質の現地材料や部品を採用し、最新鋭の設備を導入することで、新興国向けの建設機械走行減速機用軸受の要求機能を満足する製品を実現しました。

【製品の効果】

本製品は、新興国における過酷な使用環境下でも耐久性、信頼性を追求すると共に、現地生産により、コスト競争力を高め、納期短縮を可能にし、新興国への拡販を進めます。